これはもう認めます。
ゴミ捨て。
洗濯。
料理。
その他もろもろ。
我が家の日常生活は、かなり夫によって支えられています。
特にゴミ。
私はこの10年、
ゴミを出した記憶がございません。
何曜日に何ゴミなのか。
知らん。
夫が何やら袋を持って出ていくので、
たぶん今日もゴミの日なのでしょう。
そんな感じで生きています。
ほぼ、ふわっと過ごしています。
しかし。
ここでひとつ言っておきたい。
夫が最初からこんなに生活能力の高い男だったわけではありません。
結婚したのは2014年。
当時の夫には、
玉ねぎの切り方から教えました。
玉ねぎです。
あの丸いやつです。
ゴミ捨ても教えた。
洗濯も教えた。
料理も教えた。
今でこそ夫様様ですが、
基礎工事をしたのは私です。
夫に家事を覚えてもらうコツは、ひとつ。
多少雑でも。
多少やり残していても。
「ああっ!そこ!」
と思っても。
黙る。
これです。
手を出してはいけません。
やり直してもいけません。
心の中で、
「…………。」
と思いながら見守ります。
そうして12年。
夫は立派に育ちました。
そして私は、
退化しました。
今や夫がいないと生活に支障が出ます。
育成、大成功。
育成者、機能低下。
ところがです。
そんな私にも、
夫より圧倒的に役に立つ瞬間があります。
非常事態です。
先日。
冷蔵庫の中の仕切りになっているガラスが、
突然、
ガシャーーーーン!!
と割れました。
夫、
呆然。
完全停止。
その横で、
まるもちの緊急システムが起動しました。
ウィーーーン。
「まず犬を確保!!」
「冷蔵庫から離れさせて!」
「キッチンに入らないで!」
「ガラスが飛んでるから手足切るよ!」
夫、
「はい!!」
よし。
犬、確保。
夫、隔離。
現場封鎖。
ここからは私の仕事です。
まず床。
大きなガラスのかけらを、
ひとつずつ拾います。
拾う。
ビニール袋へ。
拾う。
ビニール袋へ。
まだある。
拾う。
お前もか。
ビニール袋へ。
大物を回収したら、
次は掃き掃除。
サッサッ。
サッサッ。
細かいガラスを集める。
そして、
拭き掃除。
ゴシゴシ。
ゴシゴシ。
よし。
……いや。
まだ信用しない。
次。
冷蔵庫です。
中身を、
全部出す。
野菜。
調味料。
飲み物。
なんか奥にいたやつ。
全員退場。
ガラスが入り込んでいるかもしれない。
外せるところは外す。
水で流す。
ジャーーーーー。
洗う。
確認。
さらに、
布巾。
右。
拭く。
左。
拭く。
奥。
拭く。
角。
拭く。
隅。
拭く。
隅の隅。
拭く。
一片たりとも残したくない。
犬が踏んだら大変です。
人間が踏んでも大変です。
冷蔵庫の中に残っていたら、
もっとイヤです。
冷蔵庫、
ピカーーーン。
しかし。
私はまだ終わりません。
再び床へ。
掃除機。
ブオオオオオオ。
端っこ。
ブオオオオ。
冷蔵庫の周り。
ブオオオオ。
そして、
拭く。
拭く。
拭く。
まだ拭く。
拭く。
夫はたぶん、
途中から思っていたでしょう。
「もういいんじゃない?」
ダメです。
よくありません。
ガラスというものは、
「もう大丈夫だろう」
と思った人間の足の裏を狙っています。
※まるもち調べ。
だから、
拭く。
拭く。
拭く。
約1時間後。
床。
ピカーーーン。
冷蔵庫。
ピカーーーン。
周辺。
ピカーーーン。
安全確認。
異常なし。
任務完了。
私は静かに立ち上がりました。
夫よ。
見たか。
これが、
玉ねぎの切り方を教えた女の実力である。
普段はゴミの日すら知りません。
夫がいないと生活に支障が出ます。
しかし、
非常事態となれば話は別。
平常運転は夫。
非常事態は私。
そして翌日。
夫が言いました。
「ゴミ出してくるね」
私は言いました。
「お願いしまーす」
緊急モード、終了。
私は再び、
ふわっとした世界へ戻りました。
我が家は今日も平和です。
つまり、
今日の私は役に立ちません。
まあいい。
大器晩成なので。
本当に大器晩成なのかは、また次回。



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